それは京福が、これまでに旅客営業しかしていなかったことだ。貨物列車と荷物列車は厳密には違うとはいえ、実際に車両に荷物を積んで輸送するためには貨物営業の認可が必要になる。いくら需要があっても、鉄道会社が勝手に貨物列車・荷物列車を運行することはできない。
「宅急便電車の運行をはじめるにあたって、近畿運輸局と協議しました。荷物を載せる車両にはヤマト運輸のスタッフが1名同行し、荷物を積み下ろす各駅ではほかのスタッフも立ち合います。朝の宅急便電車は2両編成ですが、非貫通車両のため、乗客と荷物が同じ車両に乗ることはありません。荷物車は貸し切り車両という形で運行し、そこに大きな荷物が積み込まれているといった体裁をとることになったのです」(同)
近年、ネットショッピング需要は急増し、物流業界は2016年末から2017年始にかけて機能不全に陥った。京福&ヤマトが始めた物流の新しい挑戦は、ほかの鉄道事業者と物流業者からも注目されており、新たに荷物輸送を導入しようとする動きも見られる。宅急便電車によって、鉄道から新たな物流革命が起きることを期待したい。