「すでに選ばれている外野手5人は非常に充実した顔ぶれ。4番候補のDeNA・筒香嘉智(25)、セ・パ両リーグで首位打者になった内川聖一(34、ソフトバンク)、一昨年216本のシーズン最多安打記録をマークした秋山翔吾(28、西武)、広島の25年ぶりのリーグ優勝の原動力となった“神ってる”鈴木誠也(22)。そこにメジャーの青木まで加わった。
追加招集候補には一昨年にトリプルスリーを達成した柳田悠岐(28、ソフトバンク)の名前も挙がっていますし、小久保監督の中には大谷翔平(22、日本ハム)の野手起用の構想もあるとみられています。この顔ぶれを見ると、仮にイチローが選ばれても出場機会は代走要員くらいしかないかもしれない」(同前)
イチローが出場した過去2回のWBC(2006年、2009年)では「1番・ライト」のスタメン出場が指定席だったが、今回はそういうわけにはいかないのである。
打順を考えても、WBC日本代表史上最強との呼び声もある今回の上位打線には、坂本勇人(28、巨人)、山田哲人(24、ヤクルト)、ら若手の強打者が並ぶと考えるのが自然だ。
となると、今度は「イチローを代表に呼んでおいて、ベンチに座らせておくなどという“失礼”が許されるのか」といういかにも面倒くさそうな問題が出てくる。
「小久保監督は45歳で、イチローとは2学年しか違わない。コーチ陣を見渡しても78歳の権藤博さんを除けば、斎藤隆(46)、大西崇之(45)、稲葉篤紀(44)、仁志敏久(45)らほとんどがイチローと同世代。もちろん、現役時代の実績やカリスマ性は圧倒的にイチローの方が上です。“呼んでおいて使わないわけにもいかないし……”といった気遣いが生まれると、当然ながら勝つための采配が取りにくくなる」(担当記者)
それが小久保ジャパンの怖れる“最悪シナリオ”だというのだ。
「仮にイチローがメディアを通じて“自分にとって最後のWBCにする。どんなかたちでもいいから代表チームに貢献したい”といった談話を公表したら、ファンは確実に『イチローを選ぼう』の大合唱になりますし、首脳陣としても選ばないわけにいかないが、チームの和はかえって乱れる可能性がある。小久保監督は“メジャー組がカギになる”といってはいますが、“イチロー以外の”というのが本音でしょう」(同前)
※週刊ポスト2017年1月27日号