PRP作成過程で、仮に血小板が壊れるとPRPに逸脱する増殖因子濃度が増加する。そのため、血清中に増殖因子が5%以下の濃度に維持されていることが、品質保全の条件になっている。
「現在、形成外科と連携し、先進医療技術Bの承認を得て、難治性皮膚潰瘍の患者さんに対してもPRP治療を実施しています。形成外科の外来で採血して、その血液からPRPを調整後に形成外科に戻し、1週間に1回、患者さんの患部に塗布します。難治性皮膚潰瘍の患者さんの重症例では、脚の切断が前提の症例も多いのですが、PRP治療が有効な効果を示し、切断を免れた例も多数報告されています」(井上特任教授)
PRP治療は難治性皮膚潰瘍だけでなく、当講座では男性型脱毛症や円形脱毛症の治療に加え、テニス肘や変形性膝関節症などでの臨床研究も実施されており、特に整形外科での成果が出始めている。
難治性皮膚潰瘍のPRP療法は同大学が中核となり、厚生労働省承認の先進医療技術Bとして、今年から金沢医科大学形成外科と滋賀医科大学皮膚科でも実施される。さらに、関連クリニックに対し、PRP調整を応需する取り組みも始まっている。
●取材・構成/岩城レイ子
※週刊ポスト2017年1月27日号