「以前は面倒見のいい朝青龍がモンゴル勢をとりまとめていたのですが、白鵬がトップになって状況が変わってきた。白鵬が自分の個人記録にばかり目を向けるようになり、つながりが疎遠になっているようです。今場所、白鵬と鶴竜に土をつけた荒鷲は、峰崎親方(元三杉磯)から“いずれ部屋を譲ってもいい”といわれていて、帰化も視野に入れている。新関脇で9勝6敗と勝ち越した玉鷲とともに、他の同郷力士ともあまりつるもうとしない」(同前)
貴ノ岩はガチンコ横綱・貴乃花が部屋を持ってから初めて関取になった一番弟子。モンゴルから鳥取城北高校への相撲留学を経て入門、貴乃花親方から相撲道を叩き込まれて「モンゴル勢のコミュニティとは一線を画している」(同前)ことで知られている。
「白鵬が目指すのは、モンゴル国籍のまま一代年寄を襲名すること。それを認めない協会に露骨に反発を見せています。そこが他のモンゴル力士の感覚とはちょっと違い、草分けともいえる大先輩の旭天鵬(大島親方)はすでに帰化していますし、鶴竜や日馬富士は協会に残ることをもともと希望していない」(担当記者)
そうした異変がある中で、どの相手でも気遣いなしに全力でぶつかっていく「ガチンコ横綱・稀勢の里」が誕生したのだ。ここ数年、モンゴル3横綱が番付上位を独占しているため、本場所13日目以降はモンゴル人勢の“トーナメント”のようなかたちで優勝が決まっていた。
「そこにガチンコでぶつかる日本人横綱が1人加わることで、状況は大きく変わる。今回、協会が稀勢の里の横綱昇進の判断について“甘い”といわれながらも前向きだったのは、モンゴル横綱を中心に回ってきた土俵に“くさび”を打ち込んでくれるのでは、という期待があったからです」(二所ノ関一門関係者)
※週刊ポスト2017年2月10日号