その間、本当によく遊んでもらったよ。遊んだ、遊んだ、遊びまくった。酒も女も、いろんなことを教えてもらったね。
あの人は、とんでもなくカネ払いがよかった。あんなに豪儀な人はなかなかいないぜ。
京都で超一流のステーキ屋に連れてってくれたときは驚いたよ。なんと5人で食いにいって、その勘定が2000万円だぜ。いくら高い店だって、メシだけ食ってたら5人で100万円もいかないからね。ロマネ・コンティのビンテージものだか、1本数百万円するようなヤツを10本近く飲んじゃったんだ。それを松方さんがぽーんとひとりで払っちゃうんだからね。カードなんかじゃない、現金だぜ。よく覚えてないけど、そんなカネ財布に入るのかって話だよ。
その頃はとにかく景気がよかった。『元気が出るテレビ!!』が大ヒットで、観光地にグッズを売る「元気が出るハウス」ができててさ。1日に1500万円売り上げる店もあったって聞くぜ。
松方さんの知り合いもその店に絡んでて、けっこう儲かったんだって。
で、「元気が出るハウス」で売ってるトレーナーもバカ売れして、あまりの売れ行きにニセモノまで出回ってたんだよな。
そのトレーナーがホンモノかどうか見分ける方法ってのが大笑いでさ。洗濯しても大丈夫なのがニセモノで、色落ちしてまっ白になっちゃうのがホンモノというね。ホンモノのほうがよっぽど粗悪品だったというオチなんだよな。
※週刊ポスト2017年2月10日号