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角居勝彦調教師、追い切り3頭併せの鞍上には重要な仕事も

角居勝彦調教師が調教の要諦を解説

 厳寒の2月。早朝の調教は人間の体には堪えるが、あと1か月もすればクラシックのトライアルが始まる。数々の名馬を世に送り出した調教師・角居勝彦氏による週刊ポストでの連載「競馬はもっともっと面白い 感性の法則」から、「追い切りの併せ馬」においては、馬だけでなく人間にも必要なことについてお届けする。

 * * *
 前回、追い切りの併せ馬の話をしました。

 2頭併せで能力の高い馬を前に行かせ、若い馬に追わせる。若い馬は追いつくことで力をつけるし、先行馬は簡単には抜かせないことで粘りを身につける。併せ馬には双方に意味があります。

 大事なことは、どちらの馬にテーマを持たせるか。追いかける側にテーマを持たせるのなら、先行馬に余計にコーナーを回らせて、ゴール板ぎりぎりで抜かせるようにする。先行馬に重きを置くのなら、さらに大きくコーナーを回らせて負荷を強くする。抜かされそうなところで粘り切る。それを覚えさせるのです。

 調教もゴール板までが勝負で、併せ馬はデッドヒートの様相になります。とくに2頭併せの場合には、どちらも負けたくないから時計が速くなり、オーバーワークになることもある。

 ところが、これが3頭併せになると少し変わってくる。遅い馬1頭のペースになってしまうことが、ままあるんですね。それで、他の2頭はトップスピードになってから、いったん我慢することになる。だからゴール板を超えてからもまだエネルギーが溢れているわけです。

 そこからが本当の勝負で、鞍上には重要な仕事がある。3頭併せの調教はゴール板を超えてからが大事です。

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