高安に続くのが、初土俵から17場所で関脇昇進という史上2位のスピード出世を果たした正代(しょうだい)だ。新関脇で迎えた初場所は負け越したものの7勝と健闘。
「これで来場所も小結に残れる。正代がいいのは立ち合いで変化しないこと。それを評価する古参のファンは多い。立ち合いで胸を突き出す悪い癖もありますが、右差しで一気に寄るパワーが魅力です」(協会関係者)
正代の所属する時津風部屋もガチンコ部屋で知られる。同部屋では他に、「まだ十両だが、知っておいたほうがいい力士がいる」と協会関係者は言葉を継いだ。
「正代と同じ東農大出身の小柳です。一昨年に創設された制度である三段目最下位格付け出しで初めてデビューした力士で、そこから4場所で十両昇進を決めた逸材。恵まれた体格を活かした押し相撲の馬力と潜在能力は正代以上ともいわれます。近いうちに必ず幕内に上がってくる」
そうしたガチンコ相撲の若手が台頭する背景にあるとされるのが、2011年に発覚した八百長問題だ。
「星が売買されていたことが発覚し、直後の2011年春場所が開催中止に追い込まれた。そんな角界の危機を見てなお入門してきた力士たちは八百長を知らない世代ですから、土俵にかける思いが違う」(古参力士の一人)
※週刊ポスト2017年3月3日号