世界では毎年、生産量のおよそ3分の1に当たる13億トンもの食品が捨てられている。中でも日本は、世界の食糧援助量の320万トンの倍相当の632万トンの食品を廃棄処分している。この現状に対し、供給する側も過剰供給を減らしつつ、商品鮮度も保つ試みを行っている。その一例を紹介しよう。
◆酸素との接触を防ぎ、賞味期限を延ばす
【キユーピー】
1925年の『キユーピー マヨネーズ』の発売以来、賞味期限を1日でも長く延ばすために、キユーピーは“酸素との戦い”と銘打って、商品改良を重ねている。
1926年には真空ミキサーを導入し、原料撹拌中に空気が含まれるのを防止。1972年には酸素透過性の低いプラスチックの多層構造容器となった。1988年には容器口部にアルミシールを採用し、外部からの酸素侵入を防ぐようになった。2002年には原料の油に溶け込んでいる酸素を取り除く「おいしさロングラン製法」によって、賞味期限を7か月から10か月に延長した。
そして昨年1月には、製造工程中での酸素を減らして、5容量(50g、130g、200g、350g、450g)の賞味期限を10か月から12か月へと延長した。
同時に『キユーピーハーフ』も、2005年の容器の改良に加え、配合を変更することで、賞味期限を10か月から12か月に延ばしている。
◆傷みや変色などによる鮮度劣化を防ぐ青果物袋
【ベルグリーンワイズ】
青果物の水分に働きかけて蒸散を防ぎ、生ものである青果物の呼吸をコントロールする。さらに、一般の袋より曇らないため、水滴による傷みから野菜や果物を守る、鮮度保持フィルムが『オーラパック』だ。
「青果物の約80~90%は水。このフィルムは、収穫後に停滞する水分子を活性化させるので、新鮮さを長持ちさせることができるのです」(広報担当者)
たとえば、しいたけは変色やかさの開きなどが、通常の袋より4日間起こらず、ブロッコリーや枝豆の変色も起こりにくい。スーパーやメーカーなどで食品ロス対策として活用されている。