投資情報会社・フィスコ(担当・村瀬智一氏)が、株式市場の3月6日~3月10日の動きを振り返りつつ、3月13日~3月17日の相場見通しを解説する。
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先週の日経平均は上昇。週末には19600円を回復し、終値ベースでの昨年来高値を更新している。イエレンFRB(連邦準備制度理事会)議長講演では、景気の進展が続けば、今月の利上げを支持する考えを明確に示唆。また、フィッシャーFRB副議長もニューヨークで講演し、3月の利上げを遠回しに示唆した。しかし、円相場は1ドル113円70銭辺りと円安基調はさほど強まらず、週明けの日本株市場は手掛けづらい状況だった。また、北朝鮮によるミサイル発射報道もあり、地政学リスクの高まり等も手控え要因になった。
注目されていたADP雇用報告では、民間部門雇用者数が29.8万人増と、市場予想の18.5万人増を上回る大きな伸びとなった。これにより週末の雇用統計を待たずに今週のFOMC(連邦公開市場委員会)での利上げが確実視される格好。日経平均は調整が続くなか、25日線など支持線が集中する水準まで下げてきており、下げ渋る展開に。週末のメジャーSQ通過後は上げ幅を拡大させ、利上げを織り込む流れとなった。
SQ概算値は19434.30円となった。225型がやや売り越しだったようであるが、ファーストリテ<9983>をみると、小安く始まったが、寄付き直後に急速に上げ幅を広げており、SQに絡んだ買いオーダーの一部が遅れた感はある。この上昇により、日経平均はもち合いレンジの上限を捉えてきている。このレンジを明確に上放れてくるようだと、節目の2万円が意識されるだろう。
米雇用統計が大きくコンセンサスを下回るようなことがない限り、今週14、15日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で追加利上げとなろう。織り込み済みではあるが、とはいえ日本株については見極めムードから膠着が続いていたこともあり、ドル高進行や米国債利回りの上昇を背景にトレンドが強まる可能性はある。
また、今週はオランダ下院選挙が行われるほか、米連邦債務上限の適用停止期間が終了する。その他、トランプ政権が予算概要を議会に提出する。これらも警戒要因だったため、これが通過することでアク抜け的な動きも意識されてこよう。