女性セブンの名物アラカン記者“オバ記者”こと野原広子が、世の不条理に物申す! 今回のターゲットは「スマホ」です。
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「どうしたもんかなあ…」。思うところあって、スマホと縁を切って1年。もう1台、タブレットか大きめのスマホを持ったら便利だろうなと思う気持ちと、最近私の周りで増えている“あっちの人”になりたくない思いが交錯して、家電量販店のスマホ売り場で行ったり来たり。頭が痛いんだわ。
“あっちの人”とは、インスタだかLINEをしていて、片時もスマホやタブレットを手放さない人。会って話している最中に、「あ」とか「お」とか言ったら、後は画面に釘付けよ。「気にしないで話して」とか「大丈夫。聞いているから」と言われたところで、指を動かしている人の気持ちはあっち。私はいない人同然よ。試しに、「でさ」と話を振ってみると、「ん~」と言って顔はあげないまんま。
「ごめん、ごめん」と、こっち側にもどってきた相手に話したいことを伝えたところで、手の中のスマホにまた呼び出され、「あ、ごめん」。
これを3回、4回、5回やられてごらん。「ね、何しに来たの?」と言ったら野暮だから「どぞ、どぞ」と物わかりのいいふりをしているけど、割り切れなさばかり残る。
昨年秋、6日間イタリアへ鉄旅に行ったときのこと。同行の40代のKちゃんは、出発の頃、ネットで知り合った男子と盛り上がったところだったから、まあ、忙しいこと。
レストランに入るとすぐ、Wi-Fiのパスワードを聞いて、その数分後には、「うふふ」とひとり笑い。タブレットの中の彼氏とLINEで会話しているのよ。
そっちがそうならと、私は地図を広げて勝手に予定をつくり、LINEが終わったKちゃんに、「これでいい?」と聞くと、「任せる」で終了。「何、その投げやりな態度は!」とは言わなかったけど、かなりの時間、私は“いていない人”にされたわけ。
それがSNS社会? 店の雰囲気も、面白いイタリアのおっさんもチラ見で、タブレットを凝視。それに文句があるなら、お前もスマホで誰かとLINEしろって? なんかおかしくないか?
※女性セブン2017年3月30日・4月6日号