芸能

渡瀬恒彦「兄貴程度の芝居しかできなかったら消えていた」

「渡哲也の弟」という肩書きをどう思っていたのか?

 人情味あふれる芝居でお茶の間を魅了した渡瀬恒彦(享年72)は、デビューからしばらくは「渡哲也の弟」という肩書きがついて回った。そのレッテルに戦いを挑むかのように、かつての渡瀬は、どんな危ないアクションでもスタントマンなしで挑み続ける激しさで知られた。

「初めてお会いしたときは、気軽に声をかけることもできないほどのオーラに包まれていた。本当にかっこいい人でした」

 3月14日、壮絶ながん闘病の末、天国へと旅立った俳優・渡瀬恒彦との出会いについて、語ったのは1990年から約2年半、渡瀬の付き人を務めた俳優・永井なおき(48)だ。バイオレンスに満ちた東映やくざ映画を観て育った彼にとって、渡瀬は畏怖の念を抱く存在だった。

 近年は『おみやさん』、『警視庁捜査一課9係』(ともにテレビ朝日系)などに出演、義理人情に厚い「温厚なオヤジ」のイメージが強い渡瀬だが、オールドファンにとっては『仁義なき戦い』シリーズを初めとする、若かりし日の凶暴な跳ねっ返り者の姿が脳裏に蘇る。

 ドラマ『まひる野』(1977年、フジテレビ系)以来、映画『戦国自衛隊』(1979年)など数々の作品で渡瀬と共演し、家族ぐるみで交流を続けてきた40年来の親友である俳優・江藤潤(65)は、目頭を押さえながらこう語った。

「ずっと病気していたから、もっとやつれているかと思っていたんですけど、いつもの温和な恒さんでした。口元はちょっと微笑みを浮かべているようで……。その顔を見た途端、涙がポタポタと出てきて……。絶対に人に弱みを見せないのが、渡瀬恒彦の美学。それを知ってるからこそ見舞いに行けなかった。もう一度一緒に飲みたかった」

 葬儀は兄・渡哲也ら10数人の親族のみで静かに営まれた。まさに「美学」を貫き通した旅立ちだった。

関連記事

トピックス

始球式に登板した稲村は基本ノーバン(時事通信フォト)
《基本ノーバン》稲村亜美の球速が激減、2年間もマウンドから遠ざかる「始球式の女王」「神スイング」は今 
NEWSポストセブン
デートは必ず手つなぎで
小室圭さん眞子さん夫妻“マンハッタンよりも治安のいい郊外”の高級マンションに新居か
女性セブン
「渋谷区『新しい学校づくり』整備方針~学校施設の未来像と建て替えロードマップ~」より
【ジェンダーレストイレ問題が続々】小学校に地域開放ユニバーサルトイレ設置案、渋谷区教委に憤るママ区議「子どもたちの安全を!」
NEWSポストセブン
西谷浩一監督
高校野球界「一強」の大阪桐蔭に異変 まさかの「4連敗」で投手陣は緊急事態、打線はタイムリー欠乏症の懸念
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信フォト)
“大谷翔平に詳しすぎる解説者”として人気沸騰・福島良一氏が明かす「大谷と歴代日本人選手の決定的な違い」
週刊ポスト
鈴木蘭々が振り返る『ポンキッキーズ』 「番組で発表した楽曲が再び私の人生を変え始めている」
鈴木蘭々が振り返る『ポンキッキーズ』 「番組で発表した楽曲が再び私の人生を変え始めている」
女性セブン
ウーマンラッシュアワー・中川パラダイス(左)と鳥居みゆき(右)
鳥居みゆき×中川パラダイス対談 異色すぎる新ユニットライブ「村本は呼びません!」 
NEWSポストセブン
性加害報道のあった木下ほうか(前所属事務所のホームページより。現在は削除済み)
【LINE全文】木下ほうかが取り下げた性加害報道裁判「ヤダヤダって何度も言ってるのに無理矢理そのまま入れようと」「直接会って謝りたいです」 事件直後のやりとり34通
NEWSポストセブン
秋篠宮さまと紀子さま、英国王戴冠式で垣間見られた“不協和音” 悠仁さまの教育方針でも意見の食い違い
秋篠宮さまと紀子さま、英国王戴冠式で垣間見られた“不協和音” 悠仁さまの教育方針でも意見の食い違い
女性セブン
リナ・ローズ氏と高級スクール
「トラブルで辞める人多数」元保護者が激白する麻布の高級スクールへの違和感 本部あるビバリーヒルズ住所を調べた結果
NEWSポストセブン
(写真はイメージ)
暴力団幹部「ベンツなんてもう乗らない。トヨタの200万円だよ」ヤクザの高級車離れで“メンツよりもコスパ”の時代へ
NEWSポストセブン
御成婚30年を迎えるおふたり(写真/共同通信社)
御成婚30年の天皇皇后両陛下 喜びや悲しみを分かち合ってきた「愛と絆の歩み」
週刊ポスト