小林:ところがその国会議員の多くが、天皇の問題にほとんど関心がない。自民党議員でさえ、2割強しか意見を提出しないという始末なわけでしょ? さらに、マスコミも無関心。トランプや小池百合子のことは盛んに取り上げるのに、天皇問題は一切やりません。
石破:社会の木鐸としての責任を果たしていませんね。本当は8月8日の「おことば」のときから議論をずっと続けるべきだったのに、一過性の話で終わってしまった。ただ、本当は昭和が終わったときから私たちはこの問題を考えなければいけなかったんですよ。
小林:それはそうですね。
石破:それは国会議員の責任なんです。だから私は選挙区に行くたびに、自分の支持者にこの話をします。マスコミは取り上げてくれないし、この問題で票が取れるとも思えませんよ。「おまえは天皇の問題を政局に利用するのか」「これで安倍政権に反旗を翻すつもりだろう」とも言われます。そういう問題では全くないんですがね(笑)。もっとも、キャリアの少ない議員はそう言われることに耐えられないのかもしれません。
小林:なるほど。選挙やポストのことを考えると、石破さんぐらいの立場にならないと戦えないのか。だったら、なおさら石破さんに引き続き頑張ってもらわないといけませんね。
石破:私は、皇室が終わるときは、日本が終わるときだと思っています。目の前の政局なんぞにとらわれている場合ではありません。
●構成/岡田仁志(フリーライター)
※SAPIO2017年4月号