中古住宅の購入者がゴキブリやムカデが屋根裏にいないかと尋ねるなど、清潔・健康的な居住環境を気にしていた取引で、屋根裏にコウモリが多数巣くっていたという事案があり、裁判所はコウモリは不潔、不気味な印象があり、糞尿も大量で天井などの汚損も甚だしく、価格に見合う快適性を欠くので瑕疵に当たると判断しました。
たぬきの親子は愛嬌ありげですが、天井裏で騒いで安眠できないような場合、住宅一般の性能に欠けますから、瑕疵に当たるといえるでしょう。そこで、たぬきの棲息が注意してもわからなかったとすれば、隠れた瑕疵による損害として駆除費用を請求できます。
しかし、中古住宅の売買では大抵の場合、売主の瑕疵担保責任を免除する特約があります。その場合、売主が知っていて黙っていたとき以外は責任追及できません。
【弁護士プロフィール】
竹下正己(たけした・まさみ):1946年、大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年、弁護士登録。
※週刊ポスト2017年4月14日号