結果、ガチンコの取組は照ノ富士が立ち合いで右に変化し、琴奨菊の頭を押さえてそのままはたき込んだ。前出の担当記者がいう。
「大関になってからの優勝がない照ノ富士はなりふり構わず勝ちに行った。2015年7月場所で、カド番の千秋楽を7勝7敗で迎えた琴奨菊が、新大関だった照ノ富士相手に立ち合いで変化してカド番を脱したことがある。その意趣返しとみる向きもありますが、実際は照ノ富士も相当痛んでいたからでしょう。6日目に高安に敗れて以降、豪風(前頭1)、御嶽海(小結)、勢(前頭1)、正代(小結)、荒鷲(前頭4)、遠藤(前頭5)とガチンコ勢との取組が続いたことが、古傷の右膝にかなり堪えていた。だからああいう相撲になったんじゃないか」
照ノ富士への批判の声があがった一番だったが、背景にはガチンコ場所が生んだ数々のドラマがあった。
結びの一番では稀勢の里が鶴竜に立ち合いでもろ差しを許すと、いいところなく完敗。
「もし、稀勢の里と鶴竜の取組が先だったら、照ノ富士と琴奨菊の一番も違う内容になっていたかもしれない。そんな想像をしてしまいます」(同前)
※週刊ポスト2017年4月14日号