確かに徴用工の労働環境は過酷であったが、対価が支払われ、日本人と同様の待遇であり、「強制」されたものではないというのが日本政府の見解だ。
一昨年も長崎県の端島(軍艦島)などの世界遺産登録をめぐって、朝鮮半島出身者が強制徴用されて働かされた施設があったとして韓国が反対した。ユネスコを舞台に、両国の主張をぶつけ合う事態となったことは記憶に新しいだろう。
そんな日韓外交の衝突を招きかねない徴用工像が、なぜ京都の山奥にあるのか。館長に聞こうとしたが、「取材には応じられない」という。ただ、館長の母親は筆者にこんな話をしてくれた。
「丹波のマンガン鉱山では朝鮮から来た人たちが昔はようけ働いておったんです。それで、韓国の知り合いから『像を設置させてくれ』と言われて、よう分からんうちに息子が『ああ、ええよ』と答えたら、韓国から人がきて除幕式までやって帰っていったんですわ。
私らは普通の像やと思ってたんだけど、よう見ると肩の上に鳥が乗っとるでしょ。『あれ、どうも問題になっている慰安婦の像となんか雰囲気が似とらんか』いう話になって、韓国側に問い合わせたら、『心配せんでも大丈夫です』ということやったんですけど……」