「もともと鶴瓶さんのことが好きで、音楽が好きだっていうのも知っていたので、もしかしたら私の歌も鶴瓶さんに届くかも、胸に刺さるかもって思ったんです。それで2007年頃から、『笑っていいとも!』の後を狙って『スタジオアルタ』で出待ちをしていたんですが、全然会えない(苦笑)。
2年くらいかけて、鶴瓶さんのトークショーの後にスタッフのかたを通じてようやくCDを渡せました。それで鶴瓶さんはラジオでも私の曲をかけてくれて。その後、収録現場に行きたいとお願いしたら“おいで”って言ってくれたんですけど、そのときの私、みすぼらしかったんでしょうね。そこの食堂で『まずは食べなさい』って(笑い)」
『お弁当ばこのうた』のアニメーションは、Mr.ChildrenのPVなどで知られる日本を代表する映像作家の半崎信朗氏。半崎の映像を手がけたのはこれが初めてではない。半崎が自主制作でCDを作り、手売りしていた頃から、彼女の楽曲のPVを手がけていたという事実に、業界は騒然となっている。
というのも、彼はシビアな作品選びで知られており、名もなき歌手のPVを手がけることはほとんど奇跡としかいいようがないからだ。鶴瓶に続き、半崎氏まで…。どんな経緯があったのか? 半崎が言う。
「半崎さんが作ったPVを見て、どうしても私の曲のPVを作ってもらいたいと思ったんです。同じ名字で運命も感じていましたし、絶対会って、私の曲を手渡したいと思ったんです。それで彼の事務所の人に“親戚なんですけど、連絡をとりたい”と話して、メールアドレスをゲットして(苦笑)。半崎さん本人には“もしかして、親戚ですか?”とメールしたんです。
もちろん、違うんですけどね、半崎さんも“あれ?”って思って返信してくれました」
こういった“強行”は、半崎伝説のほんの一部。彼女は目的のためには、法に触れること以外のことはなんでもやってきた。プライドもなければ、恥も外聞もない。現在住んでいる自宅マンションも、なんとか家賃を下げてもらうために、マンション内の掃除をすることで願いを聞き入れてもらったという。
「チャレンジしない意味が私にはわからない(笑い)。半崎さんにも、私の曲を聴いてくれたら絶対気に入ってもらえると思ったんです。もし気に入ってもらえなくても、それだけのことですから。
でも、今こうして私のデビュー曲のPVを半崎さんが作ってくださった。私は本当に幸せ者です」(半崎)
撮影/泉山美代子
※女性セブン2017年4月20日号