角界では「江戸の大関より故郷の三段目」といわれるように、強くて人気のあるスター力士よりも地元出身力士に肩入れするタニマチ気質がある。
「ましてや自身が不在の巡業の中でも、グッズ売り場で売れるのは手形からキーホルダー、Tシャツまで稀勢の里関連のものばかりで、先輩のモンゴル横綱勢の商品が棚にたくさん残っている」(協会関係者)
という状況だけに、稀勢の里が期待を裏切りたくないという気持ちになっても無理はない。
巡業部長として巡業に帯同する貴乃花親方に、稀勢の里の“途中強行出場”情報をぶつけると、こう答えた。
「今の稀勢の里にとって必要なことは、来場所に向けて体調を整えるということ。確かに巡業は協会にとって大切な興行ですが、最優先するべきはやはり本場所ですからね。とにかく、万全の体調で本場所の土俵に上がる努力をすることが肝要ではないでしょうか」
巡業副部長である玉ノ井親方(元大関・栃東)も「まずケガを治すことに専念しないと」と口を揃えた。あと1週間ほどの間に、稀勢の里はどんな決断を下すのか注目だ。