アメリカなどでは、食べられなくなった人には、家族や親しい人がアイスクリームやプリンなどをひとさじずつ食べさせてあげたりする。これをスロー・ハンド・フーディングという。栄養補給というより、絆の再確認と、心の交流という面が大きい。
たぶん、こういうことが、いま日本の死の質を高めるためには必要なのではないだろうか。
●かまた・みのる/1948年生まれ。東京医科歯科大学医学部卒業後、長野県の諏訪中央病院に赴任。現在同名誉院長。チェルノブイリの子供たちや福島原発事故被災者たちへの医療支援などにも取り組んでいる。近著に、『遊行を生きる』『検査なんか嫌いだ』。
※週刊ポスト2017年4月14日号