国際情報

合法的対艦弾道弾発射できれば中国空母の封じ込め可能

中国は西太平洋の海洋覇権を狙う

 中国は空母『遼寧』を就役させ、さらに2隻の空母を新造中。南シナ海を含む西太平洋の海洋覇権を狙う。軍学者・兵頭二十八氏は、日本及びアジアの平和を守るための秘策を提案する。それは合法的かつ中国艦隊を一挙に無力化する弾道ミサイルの配備だ。

 * * *
 中共軍の海洋支配政策の主柱は、単艦の大きさでも隻数でも近隣諸国を圧倒する艦隊と支援船舶だ。現在大連と上海で新造中の2隻の航空母艦も、アセアン諸国を脅し上げる屈強の道具になるだろう。

 そもそも1988年にスプラトリー諸島の「ジョンソン南礁」でベトナム軍守備兵を皆殺しにしながらも、空母がなかったために島嶼占領は諦めて引きあげねばならなかったという体験が、中共をして「空母軍拡」に邁進させてきた。使える空母が揃うほどに彼らは近海でやりたい放題になるはずだ。中共封じ込めの鍵はこの空母の無力化にかかっている。

 近未来の西太平洋を「中共に隷属した海」とさせないためには、わが国には敵性国の大型艦、なかんずく空母をいつでも特定海面から追い払い、あるいは敵本国の軍港においてすら破壊してしまえる実力があるのだと平時から中外に強調しておくことが合理的だ。幸い日本はもうその技術を手にしている。

 1998年から宇宙観測用に打ち上げられている国産の2段式固体ロケット「SS-520」は、140kgの観測機器を高度800kmまで持ち上げる推力がある。これを通常の弾道ミサイル軌道に改めると、重さ数十kgのソリッド(金属塊)弾頭を1800km先へ落とすことが可能だ。

 精度に関しては、弾頭部に取り付けるセンサーと空力フィンにより、かつて米軍が西ドイツに展開した地対地弾道弾の「パーシングII」(射程1800km弱、座標が既知の目標に対する着弾誤差30m)と同等のものができるだろう。海自の呉基地近くから発射しても渤海のいちばん奥まで届く。

関連キーワード

関連記事

トピックス

《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
大阪桐蔭野球部・西谷浩一監督(時事通信フォト)
【甲子園歴代最多勝】西谷浩一監督率いる大阪桐蔭野球部「退部者」が極度に少ないワケ
NEWSポストセブン
がんの種類やステージなど詳細は明かされていない(時事通信フォト)
キャサリン妃、がん公表までに時間を要した背景に「3人の子供を悲しませたくない」という葛藤 ダイアナ妃早逝の過去も影響か
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
女性セブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平の通訳・水原一平氏以外にもメジャーリーグ周りでは過去に賭博関連の騒動も
M・ジョーダン、P・ローズ、琴光喜、バド桃田…アスリートはなぜ賭博にハマるのか 元巨人・笠原将生氏が語る「勝負事でしか得られない快楽を求めた」」
女性セブン
”令和の百恵ちゃん”とも呼ばれている河合優実
『不適切にもほどがある!』河合優実は「偏差値68」「父は医師」のエリート 喫煙シーンが自然すぎた理由
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン