欧米のCOPD患者は、喘息を伴っていることもあり、増悪のリスクが高いため、喘息の治療薬である吸入ステロイドを併用することが多い。だが、日本においては喘息を合併していない患者も多く、使用にあたっては事前に検査が必要だ。
「喘息かどうかは、呼気の一酸化窒素濃度(FeNO)の測定で高い数値が出る、または喀痰検査で好酸球が多量に確認された場合などで判断します。喘息が認められた場合は、吸入ステロイドを使用することもありますが、肺炎などの重篤なリスクも高まるので、本当に使うかどうかは慎重に判断する必要があります」(寺本医師)
喫煙により発生する一酸化炭素は、体内でヘモグロビンと結びつき、体外にすべて排出されるとされていたが、実際は肺に残っていることも多い。それが呼吸のたびに外に出るので、周囲の人が吸い込む可能性もあり危険だ。
COPDになるとサイトカインが産生され、骨粗しょう症や動脈硬化、内臓脂肪の増加、また筋肉量の減少や体重低下などを招く。1日20本、10年以上の喫煙者はCOPD検査が欠かせない。
●取材・構成/岩城レイ子
※週刊ポスト2017年4月28日号