山本は一貫して「日本人とは何か」を分析してきた。山本学と称されるその独自論考と評論活動が他の日本論と一線を画するのは、一神教的世界観から、その対比として日本人の行動様式や価値観を浮き彫りにしたことにある。1977年に書いた『「空気」の研究』では、日本人の発想や秩序を縛る「空気」の正体に迫った。

 1977~79年に書かれた『洪思翊中将の処刑』を最後に戦争に関する著作はなくなり、以後はキリスト教や聖書に関連する作品が多くなる。それは必ずしも多くの読者の興味に応えるものではなく、晩年や死後の評価が高いとは言えないが、その批評眼がもたらした功績は大きい。1991年没。

※SAPIO2017年5月号

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