「本のタイトルである『遺書』からは五輪招致に賭けてきた森さんの怨念が感じられて興味深い。そもそも東京五輪の招致活動は森さんが盟友の石原慎太郎・都知事に『慎ちゃん、やろうよ』と持ちかけてスタートした。
2016年大会の招致で敗れ、石原氏が知事を辞めた後も、森さんは自らロシアのプーチン大統領やキューバのカストロ議長などに働きかけて票集めに奔走した。招致成功が森さんを抜きに語れないのは事実です。
それなのに、森さんの苦労も実績も国民に全く評価されないばかりか、後から出てきた小池知事が脚光を浴びて五輪の栄誉をかっさらおうとしている。性格からいって、森さんはそれを我慢できる人ではない。病から復活した以上、これからの小池知事の五輪準備は一筋縄ではいかないでしょう」
首都決戦の火蓋が切って落とされた。
※週刊ポスト2017年5月5・12日号