GHQ占領下で皇室典範が改正を余儀なくされたことについて私は否定的だ。しかし逆転の発想を持てば、皇族女子の婚姻対象を限定した旧典範第39条が廃止されたことで、戦前は不可だった海外王室との縁談に道が開けたとみることができる。
現在の皇族女子がもし海外の王族とご結婚された場合、我が国と相手国は極めて強固な信頼関係で結ばれる。こうした“ロイヤルファミリー外交”は、共産主義国家中国はもちろん、初代大統領ワシントンが国王となることを拒絶したことで“王国になり損ねた”同盟国アメリカにも真似できない。
相手国に実際にご婚姻の対象となる王子殿下がいらっしゃるかどうかはいったん横に置いた上で、頭の体操をしてみたい。
まず女性皇族のどなたかがイギリス王室に嫁がれるというケースを考えてみる。イギリスは我が国にとって近代立憲君主国家としての第一の範であり、昭和天皇が皇太子であらせられた時のご訪英では、当時の国王ジョージ5世と立憲君主の在り方について親しくご懇談になるなど皇室とイギリス王室の関係は深い。皇族にはオックスフォード大学に留学のご経験がある方も少なくない。
タイ王室との縁談はどうか考えてみよう。例えば眞子内親王殿下は幼少の頃からナマズの研究で有名な秋篠宮殿下のタイ訪問にご一緒されるなど慣れ親しんだ地だ。また皇室とタイ王室は古くから交流が続いており、今年3月には天皇陛下がプミポン前国王の弔問のため、ベトナム国賓訪問の帰路にわざわざバンコクの王宮をご訪問になった。