三菱・三井・住友という旧三大財閥は現在も日本経済に大きな位置を占めている。三菱の「金曜会」、三井の「二木会」、住友の「白水会」という旧三大財閥の社長会に参加する企業の純利益を合わせると約6兆4561億円となり、これは日本の大企業(資本金10億円以上)の純利益全体の約2割に達する。
財界での発言力はさらに大きい。経団連では会長の榊原定征・東レ相談役(三井グループ)を含め、会長・副会長17人のうち過半数の10人が旧三大財閥のグループ企業から選ばれている。経団連は政府への年次要望書で政策提言を行なっており、その首脳部を押さえる3大グループは日本の経済政策に大きな影響力を持っているのだ。経済ジャーナリストの福田俊之氏が語る。
「三菱、三井、住友の旧三大財閥は実はマッカーサーでも解体できなかったのです。確かに、GHQは戦後すぐに安田を含めた4財閥の解体を指示し、三井合名、三菱合資といった持ち株会社は解散、三菱重工など有力な会社は3分割されるなど徹底的な弱体化がはかられた。しかし、日本が米軍の占領下から独立する前の1951年にはいち早く住友グループが社長会・白水会を発足させ、三菱、三井も続いた。
再結集の要となったのは創業の精神です。つまり、旧財閥系企業同士は経営理念を同じくするから互いに株を持ち合ってかつてのグループを復活させやすかった。その後の高度成長期、バブル期、そして現在に至るまで、ずっと財閥系企業が日本経済を牽引してきたといっていい」
旧三大財閥グループが今も日本経済を動かしているのは、根底に「マッカーサーにも潰されなかった」という誇りと経営的したたかさを持ち続けているからだ。
※週刊ポスト2017年5月5・12日号