その白馬の持つ遺影があまりに巨大でおどろいた。百八十七センチの白馬が鼻から上とふくらはぎから下しか見えない。縦の長さが百五十センチを優に超えている。
生前の時天空の過ぎた気遣いや細やかさに、命が猛スピードで燃えてしまったのだろう、という悲しい思いは一瞬で吹き飛んでしまった。最後の最後まで笑わせてくれる。うれしい涙がこみ上げてくる。
時天空は朝青龍をやぶった。時天空に「ネガティブなんて余裕だ。それどころじゃないだろう」と厳しく指導された東京農大の後輩、正代も、そして小柳(五月場所で三代目・豊山を襲名)も育っている。若武者にできる恩返しのループ、それは白星しかない。
※週刊ポスト2017年5月19日号