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“金融庁史上最強の長官”が業界に異例の痛烈批判浴びせた

金融庁長官の異例発言の真意は(写真:時事通信フォト)

 フランス新大統領の誕生を皮切りに、長らく停滞していた株価が動き出した。国内では、更なる株価上昇を招き得る“環境整備”も進んでいる。台風の目となっているのが、金融庁長官・森信親(のぶちか)氏だ。

 森氏が4月7日に日本証券アナリスト協会の「第8回国際セミナー」で行なった基調講演「日本の資産運用業界への期待」にそのカギがある。金融ジャーナリストの森岡英樹氏が解説する。

「来年1月から積立NISAがスタートするのを受けて、金融庁が税正優遇の対象となり得る投資信託を選ぼうとする過程で『投信の問題点が浮き彫りになった』と森氏は指摘したのです。『顧客である消費者の真の利益を顧みない、生産者の論理が横行している。とくに資産運用の世界においては、そうした傾向が顕著に見受けられる』と指摘しました。

 そのうえで、日本で売られている公募株式投信5406本のなかで、『ノーロード(販売手数料無料)で信託報酬が一定率以下のもの』などの条件に限って見ると、積立NISAの対象として残ったのは全体の1%弱となる50本以下だったと言明したのです。要は“ほぼすべての投信が手数料が高いし、不透明”といっているようなもの。これまでの金融庁長官では考えられない痛烈な批判でした」

 積立NISAは森氏が発起人となった新制度だ。個人の資産形成を支援することを目的とし、顧客は“税制上の優遇措置”を受けられる。その対象となる投信は、金融会社にとってドル箱としての期待が大きい。

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