一方、もうひとりの大まじめ二枚目は西島秀俊。パナソニックのロボット掃除機「ルーロ」の働きぶりをじーっと見ながら、「あんなすみまできれいにされたら、ゴミも逃げ場がないな…」と思っているうちに、突如、自分が全身黒ずくめの格好でホコリの一粒?になってしまう。目の前に巨大なルーロが迫ると、同じく黒ずくめの仲間のホコリたちが団体で逃げまどい、「すみに逃げろ~」と部屋のすみへと猛ダッシュ。
すみはダメだと知っているホコリ西島も「これがゴミのサガなのか」と思いつつ、結局、すみに追い詰められる…。近年、タフな役が多く、今クールも、『CRISIS公安機動捜査隊特捜班』などアクションもバッチリ披露している西島だけに、ホコリになっても活劇っぽく見えるのがミソである。
豊川、西島のCMを見て思い出すのが、20年以上前のキンチョーリキッドの近藤正臣CMシリーズである。茶色の着ぐるみでタヌキになった近藤が、なぜかどこかの廊下で青いサッカーのユニフォーム姿の中山雅史とキンチョーリキッドを必死に奪い合う。かと思えば、池に浮かんだ巨大な蓮の葉の上にカッパ着ぐるみ姿で寝そべり(蚊にさされると)「意外なところがカイカイカイ」と内股を掻いている。当時の近藤といえば、二枚目の代名詞のような存在で、多くのメロドラマで女性ファンを魅了してきた。それがいきなりのタヌキやカッパ。「なんでまた!?」日本中がびっくりであった。
近藤タヌキショックから、およそ四半世紀。今は、オダギリジョーがバナナになったこともあったし、織田裕二はわんこになっている。悪臭菌やホコリもそりゃアリでしょう。しかし、豊川(かつてキンチョールCMでアロハ姿のあやしげな兄さん役を演じたことはあったが)も西島も、黒ずくめでどこか演劇的、カッコよさを残している。言ってみれば、まだまだ二枚目のままなのだ。何かがはじける音がした近藤正臣CMを思えば、ふたりには、さらなる「はじけ」を期待したい。本人に頼めばやってくれそうだし。