スポーツ

村田修一は広澤、江藤に続く巨人FA入団の犠牲者か

巨人のFA入団の「犠牲者」の系譜とは?

 今ひとつ波に乗り切れず、一進一退の状態が続いている今季の巨人。オフには、2013年に楽天を日本一に導いた強打者ケーシー・マギーを日本に呼び戻し、2012年パ・リーグMVPの吉川光夫をトレードで獲得。DeNAから山口俊、日本ハムから陽岱鋼、ソフトバンクから森福允彦と史上初となるFA選手を3人も手に入れ、「30億円補強」と騒がれた。高橋由伸監督が2年目となる今季、優勝が至上命題となっているが、補強選手が機能しているとは言い難い。

 山口と陽はケガで一軍にすら昇格しておらず、森福と吉川は二軍落ちを経験するなど調子を取り戻せていない。マギーは三塁のレギュラーに定着し、安定した成績を残しているが、そのぶん同じポジションで昨年のチームの本塁打王、打点王である村田修一がベンチに追いやられる異常事態になっている。野球担当記者が話す。

「4番ばかりを取り続けた1990年代後半の長嶋茂雄監督時代に舞い戻ってしまった感があります。38歳の阿部慎之助が年間を通して活躍できないという見通しの上でのマギーの補強だったと思われますが、これでは村田は腐るだけ。入団以来、ずっとレギュラーを張り続けた選手がたまに使われるだけではペースが掴めず、調子は上がってこない。若手にはさらにチャンスがなくなりますし、悪循環に陥るだけです」

 補強はチームに足りないところを補うものだが、巨人は余剰人員を抱えるだけになってしまった。

「今年と同じく『30億円補強』の見出しが躍った1997年を思い出しますね。1996年の後半戦、日本シリーズで大森剛が大活躍。ドラフト1位の大砲候補がようやく開花するかと思われました。実際、一塁のレギュラーだった落合博満は1997年に43歳を迎え、大森は落合と勝負するチャンスが到来するはずでした。しかし、清原和博がFAで入団。それに伴い、落合は退団。

 それだけならまだしも、一塁、三塁を守る、近鉄から打点王も獲得したことのある石井浩郎もトレードで入ってきた。1995年にヤクルトからFAで来た広澤克実も一塁を守れる。結局、大森は1997年の開幕戦に『6番・ライト』で先発出場したものの、4月のスタメンはそれを含めて3試合のみ。結局、開花することなく、翌年近鉄に移籍し、1999年限りで引退しました。石井も広沢も、試合に出たり出なかったりする巨人では、以前のような成績は残せませんでした」

 2000年代に入っても同じことが起こっている。

「2000年に広島からFA移籍した江藤智も村田と同じような目に遭いました。2004年、同じ三塁の小久保裕紀がダイエーからトレード移籍し、ポジションを奪われた。江藤はまだ34歳と老け込む年齢でもなかった。結局、39歳で引退したが、2004年以降2ケタ本塁打を記録することはなかった。巨人でなかったら、もっと成績が残せていたかもしれません」

 江藤は2002年、2003年と2年連続で20本塁打を割り、徐々に衰えを指摘されていた時期でもあった。だが、村田は昨年のチーム2冠王で、3割も打った。そんな選手がレギュラーから外されてしまう状況では、若手も台頭してくる余地などないと感じるかもしれない。巨人はまた、同じ過ちを繰り返そうとしているのだろうか。

関連記事

トピックス

破局していたことがわかった広瀬(時事通信フォト)
《女優・広瀬すずと交際相手が破局》金色ペアリング熱愛報道も…昨年末に「薬指のリング」は“もうつけない”の異変
NEWSポストセブン
「スーパーサラリーマン」を自称していた清水謙行容疑者(49)(知人提供)
【被害額100億円以上】スーパーサラリーマン清水は“悪質点検商法のパイオニア”だった「上半身に和彫り、まるでヤクザの集会…」「高級時計、札束で大バズり」
NEWSポストセブン
春の園遊会では別の道を歩かれる雅子さまと紀子さま(2024年10月、東京・港区。撮影/JMPA) 
春の園遊会が60年ぶりの大改革 両陛下、秋篠宮ご夫妻、愛子さま、佳子さまが3組に分かれ“皇族方の渋滞”を解消、“じっくりご歓談”“待ち時間短縮”の一石二鳥 
女性セブン
ライオンの子保育園の創業者である末広尚希氏(左・Xより、保育園の写真はイメージです)
“保育革命家”イケメン理事長が運営する保育園で補助金不正受給1億2900万円、過去にはロックバンドでメジャーデビュー 「メディア受けすることへの嗅覚がある」との指摘も
NEWSポストセブン
1月のOB会総会で厳しい現状を語った桑田OB会長(PL学園のグラウンド/産経新聞社提供)
PL学園「野球部復活」はおろか「2025年度の受験者は過去最低の2人…」桑田真澄OB会長も「生徒を増やす方法がない」【大阪・授業料無償化のなかでの惨状】
NEWSポストセブン
広岡達朗氏は古巣・巨人への“辛口見解”も
【2025年プロ野球順位予想】広岡達朗氏、古巣・巨人は「大補強と言うほど戦力アップになっていない」と辛口見解 優勝は「阪神が1位と予想せざるを得ないな」
週刊ポスト
三重県津市議会の青山昇武議長が女性市議への「不同意わいせつ」と「不同意性交等未遂」の疑いで書類送検された(左・Facebookより)
三重県津市議会の“禁断の話題” 公明党・青山昇武議長が女性市議への「不同意わいせつ」と「不同意性交等未遂」の疑いで書類送検、 調査委員会設置は棄権多数で否決
NEWSポストセブン
すき家がネズミ混入を認める(時事通信フォト、写真は東京都港区の店舗)
【ネズミ混入味噌汁・被害者とのやり取り判明】すき家は「電話を受けた担当者からお詫び申し上げました」 本社も把握していたのに2ヶ月公表しなかった謎
NEWSポストセブン
水原の収監後の生活はどうなるのか(AFLO、右は収監予定のターミナル・アイランド連邦矯正施設のHPより)
《水原一平被告の収監まで秒読み》移送予定刑務所は「深刻な老朽化」、セキュリティレベルは“下から2番目”「人種ごとにボスがいて…」 “良い子”にしていれば刑期短縮も
NEWSポストセブン
眞子さんの箱根旅行のお姿。耳には目立つイヤリングも(2018年)
小室眞子さんの“ゆったりすぎるコート”に「マタニティコーデ」を指摘する声も…皇室ジャーナリスト「ご懐妊でも公表しない可能性」
NEWSポストセブン
男性キャディの不倫相手のひとりとして報じられた川崎春花(時事通信フォト)
“トリプルボギー不倫”女子ゴルフ選手を待ち受ける「罰金地獄」…「4人目」への波及も噂され周囲がハラハラ
週刊ポスト
これまで多くの新海誠監督作品に携わってきた友澤さん。映画ドラえもんには初参加となる
「ドラえもん愛」が結実!『映画ドラえもん のび太の絵世界物語』美術監督が明かす「ドラえもんらしい背景」と「愛情たっぷりの名場面」
NEWSポストセブン