菅義偉・官房長官は「怪文書みたいなものなのではないか。出所も明確になっていない」と否定し、松野博一・文科相も形だけの省内調査で「該当する文書の存在は確認できなかった」と発表したが、それはあくまで表向きだ。
朝日の報道翌日、安倍首相と会食を重ねる大手メディア幹部の一人として知られる政治評論家・田崎史郎氏(時事通信特別解説委員)はフジテレビ『とくダネ!』で背景をこう説明した。
「官邸のほうは誰がリークしたかは特定している。なんでこんな文書が出るんだと調べていくと限られますから。その人はちょっと問題があって、処分された人です。それで逆恨みしているのではないかというのが、官邸の解説です」
官邸が「情報漏洩の犯人」とみている人物こそ、前川喜平・前文部科学事務次官に他ならない。文科省の事務方トップを務めた経歴を持ちながら、政権に異を唱える告発に踏み切り注目を集めるが、告発に先立つ5月22日に〈前川前次官 出会い系バー通い〉の見出しで読売新聞朝刊に報じられた人物だ。
前川氏は麻布高校、東大法学部を経て文部省に入省、教育助成局、初等中等教育局など教育行政一筋に歩き、昨年6月に事務次官に就任。同省の天下り斡旋問題(※注)の責任を取って今年1月に退任した。
【※注/文部科学省が同省人事課OBの仲介で組織的な天下り斡旋を行なっていた問題。内閣府の再就職等監視委員会が、国家公務員法に違反する斡旋であるとする調査結果を今年1月に公表。前川次官(当時)は引責辞任した】