国際情報

万景峰号がウラジオストクに出現 北朝鮮延命の生命線か

5月18日、ロシア・ウラジオストク港に入港した万景峰号

 5月18日、ロシア・ウラジオストク港のターミナルは早朝から緊張感に包まれていた。北朝鮮の貨客船「万景峰号」が入港するためだ。数々の対日工作に関わったとされる「北の密命船」は、なぜこのタイミングで極東の地に就航したのか。ジャーナリスト・竹中明洋氏がレポートする。

 * * *
 事前に得ていた情報では、入港時間は午前7時。念のため1時間前から岸壁を見下ろすターミナルのデッキで待機していたが、時間が迫ると、大勢の警察官が有無を言わさず我々メディアの関係者に撮影禁止を言い渡し、デッキを立ち去るよう要求した。

「上層部からの指示だ」

 現場の警察官に理由を問うてもそうとしか説明しないが、現地メディアの関係者はこう訝しがる。

「通常であれば、船の撮影を禁止するなんてあり得ない。なぜここまでピリピリするのか。北朝鮮側からロシア当局に強い要請があったとしか考えられない」

 湾内に立ちこめる濃い霧の中から万景峰号の白い船体が現れたのは、予定よりやや遅れた午前8時。筆者は、船で沖に出ることで全貌を撮影することができた。

 万景峰号はポーランド製。就航は1971年である。1984年までは在日朝鮮人の帰還事業に使われた。本来の船長とは別に、朝鮮労働党の副部長クラスが指導船長として乗船。新潟港などに停泊し、船内で朝鮮総連幹部らに工作活動を指示し、総連が在日同胞からかき集めた資金を不正に本国に運んだとされる。かつて海上保安庁が船内を調べたところ、隠し部屋から特殊な通信機器や乱数表が発見されたこともあるという。

関連キーワード

関連記事

トピックス

水原一平氏のSNS周りでは1人の少女に注目が集まる(時事通信フォト)
水原一平氏とインフルエンサー少女 “副業のアンバサダー”が「ベンチ入り」「大谷翔平のホームランボールをゲット」の謎、SNS投稿は削除済
週刊ポスト
解散を発表した尼神インター(時事通信フォト)
《尼神インター解散の背景》「時間の問題だった」20キロ減ダイエットで“美容”に心酔の誠子、お笑いに熱心な渚との“埋まらなかった溝”
NEWSポストセブン
水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
富田靖子
富田靖子、ダンサー夫との離婚を発表 3年も隠していた背景にあったのは「母親役のイメージ」影響への不安か
女性セブン
尊富士
新入幕優勝・尊富士の伊勢ヶ濱部屋に元横綱・白鵬が転籍 照ノ富士との因縁ほか複雑すぎる人間関係トラブルの懸念
週刊ポスト
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
女性セブン
大ヒットしたスラムダンク劇場版。10-FEET(左からKOUICHI、TAKUMA、NAOKI)の「第ゼロ感」も知らない人はいないほど大ヒット
《緊迫の紅白歌合戦》スラダン主題歌『10-FEET』の「中指を立てるパフォーマンス」にNHKが“絶対にするなよ”と念押しの理由
NEWSポストセブン