──本来、議論を戦わせて自分の政策・主張への支持を増やすのが正攻法の権力闘争です。ところが、安倍首相は「空気」を支配することで、国会で議論に応じることもなく、政権批判を封じている。
小沢:安倍さんにしてみれば最高のやり方なんだろうね。なぜかというと、安倍さんの考え方、政策では問題が多すぎて論争すればするほど支持が広がらない。だから、権力を使って相手を叩いているわけです。
──それが絶大な効果を得ている。
小沢:政敵を倒すために権力を使うことは前近代的な政治手法で、歴史的にはむしろ常套手段だった。けれども、それじゃいけないという歴史の反省の中から民主主義は生まれてきた。今、その前近代的な手法がまかり通ってしまっている。
──官僚も空気をコントロールしている安倍首相に逆らうと怖いから、忖度が生まれる。
小沢:官僚の劣化とも言える。前川(喜平)前(文科省)次官は辞めさせられてから政権を批判しているけれども、現職の中にだって盾突く官僚がいてもよさそうなもの。けれども、それもいなくなった。自民党の中にさえ(批判勢力が)いないもの。社会全体がそういう、権力に媚びる事なかれの心理になっている。