芸能

伊武雅刀 最終的には演技をしないで成り立つ存在になりたい

伊武雅刀が自身の演技についての考えを語る

 映画史・時代劇研究家の春日太一氏がつづった週刊ポスト連載『役者は言葉でできている』。今回は、印象的な芝居をすることが多い役者・伊武雅刀が、今村昌平監督と相談して芝居をした思い出について語った言葉を紹介する。

 * * *
 伊武雅刀は短い出演時間でも観る者に強烈なインパクトを残す芝居をすることが多い。1998年の今村昌平監督作品『カンゾー先生』での、料亭の女将に想いを寄せる軍人役も、そうだった。

「女将に惚れているのに全く相手にしてもらえない軍人でした。それで無理やりに関係を結ぼうとするのですが、彼女を押し倒した後でどう芝居をするか今村監督と相談しました。

 今村監督は『鳥居をバックに着物をひっぱがして内股を触れ』とか言うので、僕は『それなら早漏という設定にするのはどうでしょう』と提案したら、『いいね』って。『ようするに、乗っかったはいいけど、すぐいっちゃうんだろう』『そうです』『いった後はどうするんだ』『その後は、いたたまれなくなって、窓か何かを開けて海でも見てごまかすんじゃないですか』『うん、いいね』──という感じで、芝居が決まっていきました。

 今村監督、他の役者さんにはあまりそういう風には言わないのですが、僕には『お前、ここで何かやってみない?』というのは多かったですね。『正統派じゃないから、何かやらせても大丈夫』というようなお考えがあったのかもしれません。共演の松坂慶子さんには『伊武さん、監督に好かれていいわね』と言われたことがありましたが、面白いシーンを一緒に作っていこうという監督は僕にとってありがたいですね」

 その一方で、NHK大河ドラマ『秀吉』の黒田官兵衛、『風林火山』の太原雪斎、NHK時代劇『雲霧仁左衛門』での「木鼠の吉五郎」など、時代劇では、抑えた芝居が必要になる参謀役に回ることも少なくない。

関連記事

トピックス

《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
大阪桐蔭野球部・西谷浩一監督(時事通信フォト)
【甲子園歴代最多勝】西谷浩一監督率いる大阪桐蔭野球部「退部者」が極度に少ないワケ
NEWSポストセブン
がんの種類やステージなど詳細は明かされていない(時事通信フォト)
キャサリン妃、がん公表までに時間を要した背景に「3人の子供を悲しませたくない」という葛藤 ダイアナ妃早逝の過去も影響か
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
女性セブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平の通訳・水原一平氏以外にもメジャーリーグ周りでは過去に賭博関連の騒動も
M・ジョーダン、P・ローズ、琴光喜、バド桃田…アスリートはなぜ賭博にハマるのか 元巨人・笠原将生氏が語る「勝負事でしか得られない快楽を求めた」」
女性セブン
”令和の百恵ちゃん”とも呼ばれている河合優実
『不適切にもほどがある!』河合優実は「偏差値68」「父は医師」のエリート 喫煙シーンが自然すぎた理由
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン