経営母体の伝燈院は曹洞宗だが赤坂浄苑は「宗派不問」を謳っており、他宗派の僧侶が入り込んで法要を行うなどの姿が日常的にあったという。
また伝燈院自体は石川県にある寺で、赤坂へ進出する際に資金調達などもはせがわが協力していた。「副住職が常駐して日常的に座禅教室を開くなど、宗教的にはきちんとしていた」とする関係者の声もあるが、「宗教法人の名義貸しによる、単なるビジネス」との見方も当然あろう。実際、東京地裁は赤坂浄苑の5階本堂や1階寺務所部分以外で、他宗派の供養が実施されていると認定。それが非課税となる「宗教法人が専らその本来の用に供する(中略)境内建物及び境内地」にはあたらないとし、課税を是とした。
これは赤坂浄苑が特に悪質だったという話ではなく、ビル型納骨堂のほとんどは「宗派不問」だ。地方の寺院が民間企業と組んで、納骨堂を都心に建てる光景も日常化している。伝燈院との訴訟で勝った東京都は、それらにも今後同様の課税をしていく方針を匂わせているという。
従来、納骨堂といえば寺院に付属するコインロッカーのようなものが主流で、いわば“廉価版の墓地”のような扱いであった。遺族は小さなロッカーの扉を開けて、わずか数十センチ四方の空間に納められた故人の遺骨に慎ましやかに手を合わせる。それが納骨堂に遺骨を納める人々の先祖参りの光景だった。