しかし、両派は運動の行き詰まりから内ゲバを繰り広げるようになり、数百人にものぼる犠牲者を出した。なかには、無関係な人が間違われて襲われて命を落としたケースもある。本来の目的から逸脱した闘争によって求心力を失い、運動は急速に萎んでいく。50年あまりの年月を経て、両派の現状はどうなっているのか。

「機関紙の発行部数などから推計すると、中核派と革マル派はシンパも含め、それぞれ約3000人。もうひとつの新左翼団体である革労協は100~200人で、あと10年もすれば消滅すると囁かれている。中核派と革マル派も高齢化という問題を抱えているのは同じで、メンバーの中心は50代~60代だが、革労協に比べるとまだ組織維持に成功している。

 革マル派のオルグの場は大学で、いまだに一部の大学に自治会やサークルなどの“拠点”がある。中核派もかつては法政大学の自治会を拠点にしていたが、大学側が自治会を解散させたため、近年はいくつかの大学構内や反原発集会でリクルートする手法にスライドしている」(公安関係者)

 最初は正体を明かさずに「戦争法案はおかしいと思わないか」「共謀罪には問題がある」などと声をかけ、興味を示したら集会やデモに誘う。メンバーになると確信できる段階になって初めて正体を明かす。オルグの手法は昔と全く同じだ。だが中核派は近年、武装闘争路線から“公然活動”にシフトしつつあるという。

「中核派は反原発を掲げる学生団体『NAZEN』を創設し、福島県内に拠点として診療所を設置するなど、反原発を前面に出し、反安保、改憲阻止、環境問題、貧富格差是正などを訴える市民団体にも浸透をはかっている。ただ、一昨年夏の安保法案反対の国会前デモでは、中核派の学生が参加しようとしたところ、学生団体のSEALDsから排除されるなど成果は乏しい」(前出・公安関係者)

関連キーワード

関連記事

トピックス

《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
大阪桐蔭野球部・西谷浩一監督(時事通信フォト)
【甲子園歴代最多勝】西谷浩一監督率いる大阪桐蔭野球部「退部者」が極度に少ないワケ
NEWSポストセブン
がんの種類やステージなど詳細は明かされていない(時事通信フォト)
キャサリン妃、がん公表までに時間を要した背景に「3人の子供を悲しませたくない」という葛藤 ダイアナ妃早逝の過去も影響か
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
女性セブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平の通訳・水原一平氏以外にもメジャーリーグ周りでは過去に賭博関連の騒動も
M・ジョーダン、P・ローズ、琴光喜、バド桃田…アスリートはなぜ賭博にハマるのか 元巨人・笠原将生氏が語る「勝負事でしか得られない快楽を求めた」」
女性セブン
”令和の百恵ちゃん”とも呼ばれている河合優実
『不適切にもほどがある!』河合優実は「偏差値68」「父は医師」のエリート 喫煙シーンが自然すぎた理由
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン