「最初は1時間枠で、男性アナウンサーとの2人体制。しかし視聴率が思わしくなく、30分枠で櫻井さんが1人でキャスターをやるようになってから、視聴率が急上昇した。時には20%を超えて、久米宏さんの『ニュースステーション』の上を行っていました。櫻井さんはどんな時でも絶対にブレない。それは当時も今も変わりません」
薬害エイズ問題では、危険な非加熱血液製剤を注射され、理不尽にもエイズに感染した血友病患者の無念を掬いあげ、薬害を生み出した元凶である安部英・帝京大学副学長とミドリ十字の癒着、厚生省の闇を鋭く追及。1994年に出版した『エイズ犯罪 血友病患者の悲劇』(中央公論社)で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した。
番組は好調だった。だが、櫻井はそこに安住しなかった。1996年、50歳の時に『きょうの出来事』を降板する。
「50歳になる直前に、日本テレビが番組15周年のお祝いをしてくださったんです。無我夢中で走り続けていたので意識もしていませんでしたが、その時、『ああ、もう15年だ』と。同時に『私は言論人なんだ。自分自身の論陣を張らないでどうする』という思いが湧き上がってきたんです」