ビジネス

カムリ セダンへの郷愁持つ中高年を掴み復権果たせるか

デザインもシャープになった新型カムリ

 トヨタ自動車が7月10日に発売した新型「カムリ」が、国内の自動車市場で低迷する“セダン復権”の起爆剤となるか注目されている。

 カムリといえば、1982年の初代発売以来、世界100か国以上で累計1800万台を売り上げてきたトヨタの主力ブランドだ。特に米国では年間50万台規模の販売台数を誇り、2016年まで15年連続で乗用車部門の販売台数トップを記録。いまや稼ぎ頭のグローバル基幹車種となっている。

 6年ぶりに全面改良した今回の新型は、「TNGA」(トヨタ・グローバル・アーキテクチャー)と呼ばれるトヨタの新しい設計・開発手法を採用。車台や部品などの共通化によりコスト削減で浮いた開発費を、走行性能の向上に費やした。その結果、ハイブリッド車(HV/日本はHVのみ)の燃費は、ガソリン1リットルあたり最高25.4kmから33.4kmと大幅に向上させた。

 デザインも近年のトヨタ車に共通するシャープなフロントマスクに変わり、若者層など新規ユーザーの獲得にも意欲を見せる。だが、車室以外に独立したトランクルームを持つ、いわゆるセダン系のクルマがとにかく売れない時代なのは確か。

 2017年1~6月の登録車の車名別販売ランキング(日本自動車販売協会連合会調べ)を見ても、上位にはコンパクトカーの日産「ノート」やSUV(スポーツ多目的車)のトヨタ「C-HR」などが並び、トップ30モデルに入ったセダンは、11位のスバル「インプレッサ」が最高。以下は13位「カローラ(トヨタ)」、28位「クラウン(トヨタ)」、29位「アクセラ(マツダ)」しかない。しかも、クラウン以外はワゴンやハッチバックも含んでの販売台数だ。

「1990年代はミニバン、2000年以降はコンパクトカーや軽自動車、近年はSUVと入れ替わりで訪れるブームに押され、昔ながらのセダンはどんどん車種を減らしながら衰退していった」(自動車専門紙記者)

 だが、前述のように米国をはじめ、中国やインドなど新興国市場でもセダン人気はまだ衰えていない。グローバル戦略を重視する日本の自動車メーカーにとって、「世界展開を続けるうえで自国でもセダンの失地回復を図りたい」(メーカー幹部)と考えるのは当然の成り行きなのかもしれない。

 では、今後トヨタのように国内でセダン車種の再編や新型車の投入を増やすメーカーが出てくれば、自然と人気も復活してくるのかというと、そう簡単ではなさそうだ。自動車ジャーナリストの井元康一郎氏がいう。

関連キーワード

トピックス

STAP細胞騒動から10年
【全文公開】STAP細胞騒動の小保方晴子さん、昨年ひそかに結婚していた お相手は同い年の「最大の理解者」
女性セブン
水原一平容疑者は現在どこにいるのだろうか(時事通信フォト)
大谷翔平に“口裏合わせ”懇願で水原一平容疑者への同情論は消滅 それでもくすぶるネットの「大谷批判」の根拠
NEWSポストセブン
大久保佳代子 都内一等地に1億5000万円近くのマンション購入、同居相手は誰か 本人は「50才になってからモテてる」と実感
大久保佳代子 都内一等地に1億5000万円近くのマンション購入、同居相手は誰か 本人は「50才になってからモテてる」と実感
女性セブン
宗田理先生
《『ぼくらの七日間戦争』宗田理さん95歳死去》10日前、最期のインタビューで語っていたこと「戦争反対」の信念
NEWSポストセブン
焼損遺体遺棄を受けて、栃木県警の捜査一課が捜査を進めている
「両手には結束バンド、顔には粘着テープが……」「電波も届かない山奥」栃木県・全身焼損死体遺棄 第一発見者は「マネキンのようなものが燃えている」
NEWSポストセブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
ムキムキボディを披露した藤澤五月(Xより)
《ムキムキ筋肉美に思わぬ誤算》グラビア依頼殺到のロコ・ソラーレ藤澤五月選手「すべてお断り」の決断背景
NEWSポストセブン
(写真/時事通信フォト)
大谷翔平はプライベートな通信記録まで捜査当局に調べられたか 水原一平容疑者の“あまりにも罪深い”裏切り行為
NEWSポストセブン
逮捕された十枝内容疑者
《青森県七戸町で死体遺棄》愛車は「赤いチェイサー」逮捕の運送会社代表、親戚で愛人関係にある女性らと元従業員を……近隣住民が感じた「殺意」
NEWSポストセブン
大谷翔平を待ち受ける試練(Getty Images)
【全文公開】大谷翔平、ハワイで計画する25億円リゾート別荘は“規格外” 不動産売買を目的とした会社「デコピン社」の役員欄には真美子さんの名前なし
女性セブン
眞子さんと小室氏の今後は(写真は3月、22時を回る頃の2人)
小室圭さん・眞子さん夫妻、新居は“1LDK・40平米”の慎ましさ かつて暮らした秋篠宮邸との激しいギャップ「周囲に相談して決めたとは思えない」の声
女性セブン
いなば食品の社長(時事通信フォト)
いなば食品の入社辞退者が明かした「お詫びの品」はツナ缶 会社は「ボロ家ハラスメント」報道に反論 “給料3万減った”は「事実誤認」 
NEWSポストセブン