ライフ

百田尚樹氏に94歳の元撃墜王が語った「居眠り」の恐怖

元撃墜王が百田尚機氏に語った戦慄の体験とは

 元日本軍エースパイロットたちの証言を集めた戦記ノンフィクション『撃墜王は生きている!』(井上和彦著、小学館文庫)には、ラバウルで43機を撃墜した帝国海軍のエースパイロット、本田稔・元少尉(現在94歳)が登場するが、実は同書の文庫解説を務めた作家・百田尚樹氏は、『永遠の0』執筆時に、この本田氏に出会っていたという。そこで、衝撃の戦場秘話を聞いたというのだ。

 * * *
 ラバウルが「搭乗員の墓場」と言われたのはある意味で当然です。実際、このガダルカナル攻防戦において、日本海軍の誇る歴戦の搭乗員の多くが亡くなりました。本田稔氏はそんな地獄の戦場で生き残った数少ない搭乗員です。しかしその話を実際に耳にして、言葉を失いました。

 本田氏は驚くようなことをおっしゃいました。それは、「ガダルカナル上空で敵機に撃墜されたよりも、帰路に墜落死した搭乗員の方が多かったのではないか」というものです。その理由は、疲労困憊による睡眠であったと言います。

 一度出撃すると七時間近く操縦席にいるのですが、これは恐ろしく体力を消耗します。自動車でも七時間も運転席に座っていることはできません。長距離トラックの運転手でも、途中、何度かサービスエリアで休憩します。そうしないと体がもたないからです。

 しかし零戦の搭乗員は一度たりとも操縦席から降りることはできません。七時間の間、身体を大きく伸ばすこともできないのです。しかもただ操縦するだけではありません。その七時間は一瞬たりとも油断のできない時間なのです。いつ敵機が雲の間から急襲してくるかわかりません。あるいはこっそりと後ろから忍び寄り銃撃を浴びせてくるかわからないのです。そのために常に周囲に注意を払わなければなりません。そしてガダルカナル上空では、待ち構える敵機と激しい空中戦を行なわなければならないのです。

関連キーワード

関連記事

トピックス

結婚生活に終わりを告げた羽生結弦(SNSより)
【全文公開】羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんが地元ローカル番組に生出演 “結婚していた3か間”については口を閉ざすも、再出演は快諾
女性セブン
「二時間だけのバカンス」のMV監督は椎名のパートナー
「ヒカルちゃん、ずりぃよ」宇多田ヒカルと椎名林檎がテレビ初共演 同期デビューでプライベートでも深いつきあいの歌姫2人の交友録
女性セブン
NHK中川安奈アナウンサー(本人のインスタグラムより)
《広島局に突如登場》“けしからんインスタ”の中川安奈アナ、写真投稿に異変 社員からは「どうしたの?」の声
NEWSポストセブン
コーチェラの出演を終え、「すごく刺激なりました。最高でした!」とコメントした平野
コーチェラ出演のNumber_i、現地音楽関係者は驚きの称賛で「世界進出は思ったより早く進む」の声 ロスの空港では大勢のファンに神対応も
女性セブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン
元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
5月31日付でJTマーヴェラスから退部となった吉原知子監督(時事通信フォト)
《女子バレー元日本代表主将が電撃退部の真相》「Vリーグ優勝5回」の功労者が「監督クビ」の背景と今後の去就
NEWSポストセブン