そんなわけで、どこまでも「出来過ぎ」な印象のこのドラマ。しかし、私はこれこそがこのドラマの肝だと思っている。
あまりにキレイに出来上がった人物、設定だからこそ、黒くなったときのギャップが怖い。そういえば、働き者の優しい母というイメージだった晶子は、だんだん目つきが鋭くなって「ウソをつきとおすのよ…」などと黎にアドバイスし始めた。
鈴木保奈美に低い声で何か言われたら、とても逆らえない。他に「大企業の社長令息」などと自ら称する黎のチャラい同期の安達(白洲迅)や母の同僚医師で親切な准教授風見(鈴木浩介)の存在も気になる。彼らも今後、別の顔を見せるのか。そう思うと、最初から怖い顔をしている遠藤憲一が一番普通じゃんと思えてくる…。
やはり、このドラマの「出来過ぎ」ムードは確信犯。狙いは、出来過ぎをひっくり返す、その瞬間にあるのである。