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2017.07.26 16:00  マネーポストWEB

中国のEV市場が急拡大、トヨタも戦略転換を迫られる

中国のEV市場急拡大の余波とは(Imaginechina/時事通信フォト)


 中国汽車工業協会が7月11日に発表したデータによれば、1-6月の自動車販売台数は1335万4000台で、3.8%増に留まった。乗用車に限ると、販売台数は1125万3000台で1.6%増と更に低い伸び率である。小型車(排気量1.6リットル以下)だと販売台数は769万7000台で、2.6%減と全体の乗用車販売の足を引っ張っている。

 2015年10月から小型車の自動車購入減税が実施され、10%から5%に引き下げられた。その結果、2016年小型車販売台数は21.4%増加、全体の乗用車販売台数は14.9%増加した。しかし、2017年に入り、購入税減税がもう1年続けられることになったものの、税率は7.5%に引き上げられたため、小型車販売に影響が出ている。

 乗用車について、車種別にみると、SUVが16.8%増と大きく伸びているが、セダン、MPV、クロスオーバーは順に、3.2%減、15.8%減、25.3%減となった。中国の生活様式に最も適したSUVの躍進が続いている。

 乗用車の内、中国ブランドは全体の43.9%を占め、4.3%増と全体の伸び率を大きく上回っている。一方で、海外ブランドの販売台数が伸び悩んでいる。国別のシェアを見ると、ドイツ系が20.2%、日系が17.7%、アメリカ系が12.0%、韓国系が3.8%、フランス系が1.7%、その他が0.7%を占める。マスコミ情報によれば、日系の伸びが最も高く、ドイツ系、アメリカ系がそれよりもやや低く、韓国系、フランス系が減少しているといった状況のようだ。

 上期の統計でもっとも注目されるのは、新エネルギー自動車の動向である。1-6月における全体の販売台数は19万5000台で、この内、乗用車は16万4000台である。伸び率は順に、14.4%増、35.9%増となっている。昨年後半、一部メーカーによる補助金の違法取得問題が発覚、今年は新エネルギー自動車の認定や、補助金支払いが厳格になったことなどから、新エネルギー自動車には逆風となったが、その割にはしっかりと成長が続いている。

 新エネルギー乗用車の内、13万2000台がEV(電気自動車)で62.9%増、3万2000台がハイブリッドで19.9%減となっている。中国市場では既に、EVが主流となっている。

 新エネルギー自動車については、環境保護の面からも、石炭などのエネルギー関連に関する供給側改革の面からも、更に、戦略的振興産業に属するといった面からも、国家がその発展に力を入れている。

 開発面では企業に対して補助金を与える一方で、一定規模の生産を義務付けようとしている。需要面からはユーザーに対する補助金・減税、ナンバープレートの優先発給や、地方政府が主体となって電気スタンドの設置を進めるなど、全方位的な産業支援がなされている。

 7月23日、日経新聞の報道によれば、トヨタ自動車が2019年にも中国でEVを量産することを検討し始めたようだ。トヨタ自動車はこれまで、ハイブリッド車の普及、水素燃料電池車の開発を進めてきたが、世界最大の新エネルギー自動車市場である中国では、EVが主流となることが明らかであるため、戦略の転換を迫られている。

 ほかの自動車メーカーも同様である。ただし、日本の部品メーカーには活路を見いだせるところがあるようだ。中国のプレゼンスの高まりは、自動車に限らない。スマホ、電気製品などの市場では中国が圧倒的な規模となっている。ミクロでみる限り、中国市場の重要性は高まるばかりである。

文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサル ティングなどを行うTS・チャイナ・リサーチ代表。ブログ「中国株なら俺に聞け!!」、メルマガ「週刊中国株投資戦略レポート」も展開中。

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