◆火葬・出棺
通夜の翌朝、祭壇の前に親族と親しい人が集まって、お棺に花を入れて、お別れ。これで顔を見るのは最後と思ってたけど、火葬場の炉の前で本当に最後の最後のお別れ。
係の人に、「最後ですから体を触ってあげてください」と言われ、泣けた。約1時間後、炉の前に戻ってお骨と対面。誰からともなく、「ああ~」とため息がもれる。そして、目の前の焼かれた人骨を目にすると、いよいよ肉体が消えて物体になったことを納得させられる。
大きな火箸で2人1組で骨をはさむ骨上げ。骨を落とさないように緊張しながら骨壺に入れる。火葬場と会場の往復はマイクロバス。火葬場に来る時の重たい空気が、帰りはガラリと変わって、年老いた親戚同士が病気自慢に人の悪口。非日常から日常に戻っていた。
◆葬儀
午後1時から葬儀。「火葬をしてから葬儀をして、その日に埋葬をした」と東京の友達に言うと、「聞いたことがない。納骨は四十九日よ」と驚かれた。葬送評論家の碑文谷創さんに聞くと、「火葬、葬儀、埋葬の順ですることを“骨葬(こっそう)”といい、埼玉、千葉以北では当たり前の葬法です。一般に、土葬から火葬に変わるのが遅くなった地域ですね」という。とはいえ、「最近では、東京でも密葬、火葬、お別れの会の順で、結果的に骨葬をする人が増加しています」とのこと。
◆埋葬
親族と僧侶がマイクロバスに乗って、お墓に移動。墓地の石のお棺置き場に骨壺をのせて、お経を唱える僧侶の後に続き、家族が3周回る。その後で納骨。四十九日に納骨をするのが一般的だが、私の実家付近では土葬の名残りで、葬儀の日に埋葬することが多いそう。「土葬だと、早く埋葬しないと“死体遺棄”になっちまうがら」という僧侶の三十五日の法話に思わず笑った。
◆三十五日・四十九日法要
僧侶の説法を聞き、お経をあげる。私の実家付近では、親族で塔婆に白い短冊を縛る時、次は何番目に生まれてきたいか、位置を決める風習がある。三十五日は亡くなった人が剣の山を登って霊界に行く日とし、山から滑り落ちないよう、わらじの底にぼたもちを塗りつけ、縛って寺に奉納する習わしも。四十九日は霊から仏になる日。法要の後でお墓参りする。
※女性セブン2017年8月10日号