「私はこれまで誰よりも多くの失敗をしてきたと同時に、誰よりも多くの経験をしてきました。その経験を生かしメダルを狙いたい」
年々高速化が叫ばれる世界のマラソンにおいて、多くの日本人選手同様、自己ベストが2時間8分14秒の川内がメダルを狙うのは厳しいとの見方もある。だが、川内はこう反論する。
「世界記録は2時間2分台と言っても、ペースメーカーのいない五輪や世界陸上を振り返れば、そんな高速レースにはなっていません。そこは世界記録と世界大会で勝つということがごっちゃになっている部分がある。
超高速と言われた2008年の北京五輪で金メダルを取ったワンジル選手のタイムでさえ2時間6分台で、条件の違いはあれ昨年のリオ五輪の優勝タイムも2時間8分台で、2位と3位は約2時間10分です。そうした意味で、私のいつも通りの走りができれば金は無理でもメダルに届く可能性はあると思っています」
まだ代表の内定が出る前の今年1月、川内は世界陸上の会場となるロンドンのコースを3日連続で試走することで本番へのイメージを膨らませている。レースの前日には特盛のカレーを食べて気合いを入れることがルーティンとなっているが、そのカレー屋の下見も済ませているなど準備に抜かりはない。