昨年、硬式野球部が最後の試合に敗れた直後に発刊された教団の機関紙「芸生新聞」(16年7月25日号)には、あれほどテレビやスポーツ新聞が注目した硬式野球部の最後の試合は中面に小さく紹介されているだけで、「休部」「廃部」といった言葉はひとつもなかった。そして、その号の一面に大きく載っていたのが、信者の修行の場である新錬成会館で激励を受ける軟式野球部員たちの姿だった。
硬式野球部の廃部の判断を下したのは、学園の幹部であり、教団の幹部たちである。彼らの中で、信仰に熱心な生徒が励んでいる軟式野球部を手厚く支援していこうという姿勢が、紙面からも伝わってきていた。
硬式野球部が使っていた専用グラウンドは現在、軟式野球部が使っているという。偶然、その光景を見た硬式野球部のOBは、怒りに震える感情を私に伝えてきた。
「僕らにとって神聖な場所。そこを汚されているような気がします」
あのグラウンドも、その脇にある研志寮も、そして室内練習場も、取り壊される予定ではなかったか。斉藤監督は言う。
「工事が始まるまでは、空いているグラウンドを使って良いということで、大いに利用させてもらっています。撤去の時期は分かりません。その辺の話は、我々はノータッチなので」
昨年5月に完成した屋内多目的施設も軟式野球部は使用している。
「専用というわけではありません。中学の軟式野球部と一緒に使わせてもらっています。いつも空いているんでね。確かに硬式野球部が廃部となったことで、練習環境はより良くなったかもしれません」
しかし、軟式野球部もいずれ硬式野球部と同じ道をたどることになるかもしれない。