まさにその通りである。当然だが、ツイッターで暴言を吐き続けることが大統領の職務ではない。
トランプは、選挙公約で「オバマケアを中止する」「アメリカ国内のインフラ投資を増やす」「大規模な減税をする」などと主張していたが、そのどれも実現の目途が立っていない。仕事もせずにツイッターばかりやっている男を、なぜアメリカ国民がいつまでも大統領として君臨させ続けているのか、理解に苦しむ。
私が、著書『そして、アメリカは消える』で「アメリカが崩壊すれば、世界がジャングル化する」と指摘したのは昨年9月だった。
それから1年近くが経とうとしているが、その間、世界各地で大規模なテロが頻発し、中国は日本の領海を侵犯したり南シナ海への覇権を強めたりと横暴を尽くし、北朝鮮は弾道ミサイルを何発も打って世界の平和に挑戦する態度を明確にした。
残念ながら予想通り、いや、予想以上に、世界は「ジャングル化」してしまった。奇しくもこの連載のタイトル通り、「新世界大戦の時代」に突入したと言える。
恐ろしいのは、これまで日本のそばにいたアメリカという「強く大きなゾウ」がいなくなったことに、日本の政治屋たちも国民の多くも気付いていないことだ。かつての“世界の警官”はどこにもいない。今、日本は猛獣だらけのジャングルを一人、裸で歩いているのである。
すぐ隣にいる狂犬、北朝鮮は、日本への敵対姿勢をエスカレートさせている。アメリカはICBM(大陸間弾道ミサイル)の試験発射を事実上の「レッドライン(越えてはならない一線)」であるとしていたが、金正恩はそれをいとも簡単に踏み越えてきた。