それが2015年8月の介護保険改正によって、世帯分離していても夫が働いていて住民税を課税される状況であれば、負担軽減は認められなくなった。都内に住む70代男性はこう肩を落とす。
「年上の妻が特養に入っているのですが、世帯分離による負担軽減が認められなくなり、施設からの請求額は一気に倍近くになってしまいました。子供も自分たちの生活で汲々としていて頼れない。世帯分離でダメなら、もはやかたちの上では離婚してでも、妻が低所得者扱いになるようにして負担軽減を受けるしかない……」
どんどん“対策”が網に掛けられるようになるたびに、こうした事例が増えていくことが懸念されるのだ。
定年後の熟年離婚ではなく、介護費を捻出するための晩年離婚である。
※週刊ポスト2017年9月8日号