朝鮮人徴用工の賃金についても、日本人との差別は一切なかったと断言する。
「徴兵による日本人熟練工の減少に伴い、朝鮮人労働者の技量が向上した。結果、終戦間際には日本人との賃金が逆転する炭鉱もあったほどです。端島(軍艦島)では引揚の際、島民との別れを惜しむ朝鮮の人々がいつまでも船上で手を振っていたという証言もあります」(三輪教授)
旧島民とその子孫らで構成する「真実の歴史を追求する端島島民の会」会長もこう話す。
「映画で描かれる奴隷労働などあるはずがない。炭鉱では古株の朝鮮人が新米の日本人を指導することもあり、終戦後『端島のほうが給料も良い』と島に戻ってきた朝鮮人もいました。狭い島内で朝鮮人への虐待や殺人が起こればすぐに耳に入るはずですが、そのようなことは一切ありません。端島には100世帯ほどの朝鮮人家族が暮らしており、子供たちは学校で机を並べ仲良く過ごしていました」
映画を観た韓国人作家・金完燮氏もあきれ顔だ。
「強制連行されたという朝鮮人も当時は日本国籍を有する“日本人”であり、警察や軍関係者が違法行為を犯して連行するなどありえない。あまりに杜撰な時代考証に加え、日本人と結託し同胞を騙す朝鮮人が悪玉の中心人物として描かれたことも、映画が酷評された理由の一つだろう」
劇中で慰安婦を演じた女優、イ・ジョンヒョンが、「実際の歴史を見ても、朝鮮人が同じ朝鮮人を騙すことがあった」(韓国経済新聞・7月27日付)と発言、大炎上したことも失速の一因となった。総製作費約22億円を投じ「史上最大級の反日作品」との呼び声が高かった『軍艦島』だが、興行収入は目下、損益分岐点にすら届かない可能性があるという。