平塚周辺のポーラショップ(化粧品会社・ポーラの商品のショップ)の平均売り上げは、月間平均200万円程度だが、飯田芳子さん(85才)がショップオーナーを務める平塚西口店は平均を大きく上回り、250万円に達する。それを担っているのは、高齢のBD(ビューティーディレクター)たちで、平均年齢は71.8才。
このショップでは60才以上の女性が10人も働いているが、皆昨日今日入ってきた人たちではない。長年飯田さんと共に、その美意識を共有してきた盟友だ。
福山恭子さん(78才)は働き始めて45年になる。顧客とのつきあいは長い人で20年。知り合った頃にはなかった肌のトラブルや化粧の悩みを一緒に解決し、顧客と「いつまでもきれいでいたい」という思いを共有している。同店では、売り上げNo.1を誇るBDだ。
今井小夜子さん(61才)は、20年間、農業をやりながら、時間を見つけて仕事を続けてきた。日焼けをするので、自分の肌にも気を使い、その経験を持って顧客にアドバイスをしている。
柳田千鶴子さん(69才)はショップの事務スタッフ。嫌なことがあったときも飯田さんの元で働いていると気が紛れると言う。
店では飯田さんと気の置けない仕事仲間の“美容井戸端会議”が日々、繰り広げられる。今回はそれを中継!
福山:ずいぶんと長く働いていますが、職場は、同じくらいの年齢のかたがたくさんいて、楽しくやっていくうちに、あっという間に年月が経ったという感じですね。
柳田:本当にそうですね。大先輩のオーナー(飯田さん)が働いているんだから私も頑張らなきゃと思って、ここまで来ました。
今井:飯田さんはお姉さんのような存在で、とにかく気配りのできる人です。農業とBDの両立は大変だったのですが、飯田さんのお陰でここまでこられました。職場もそうですが、お客様との関係を築くことも私にとっては楽しかったですね。
私の悩みもお客様の悩みも年々変わっていくんです。昔はこんなところにシミはなかったのに、もっとお化粧のノリがよかったのに、って。言い出すとキリがないくらい(笑い)。そんなときに、一緒になって考えて、こうした方がいいですよ、と提案します。するとお客様の表情がパッと明るくなるときがあります。その瞬間に立ち会えたときにうれしくなるんです。
◆ファンデーションは二色使い、口紅は明るい色を