ライフ

「人格者」とされる西郷隆盛「若い頃は度量狭い頑固者」

上野公園の西郷隆盛銅像(昭和初期) 共同通信社

 西郷隆盛の人物像といえば、「度量が非常に大きく、仁愛に富んだ類い希な人格者だった」「栄達を極めたにもかかわらず、清廉潔白な人柄だった」といったイメージが一般的だ。

 一方で、「豪傑肌ではあったが、度量が狭かったため敵も多かった」「血気にはやるあまり、協調性に欠ける頑固者だった」といった人物評が、若い頃からの西郷を知っている同郷の薩摩藩士・重野安繹らの証言として残されてもいる。

 その相反する人物像はすべて真実であると語るのは『西郷隆盛伝説の虚実』の著書がある歴史家の安藤優一郎氏だ。

「現在、一般的に知られる人格者としての西郷像は、没後にまとめられた『南洲翁遺訓』によるところが大きい。しかし、それはあくまでも晩年の西郷なのです」

 重野らの西郷評は、若い頃の姿を伝えているという。

「若い頃から江戸や京都で活躍していた西郷が、鹿児島を出たことがない主筋の島津久光を“地ゴロ”(薩摩で田舎者を意味する蔑称)と呼んだと伝える史料もある。血気盛んで、能力は高いが周りに対して厳しい、度量の狭い男だったんです。

 現在知られる人格者としての西郷は、激動の時代の中、紆余曲折を経て人間的に成長した後の姿。最初から完全無欠の英雄だったのではなく、人間らしい弱さをも合わせ持つ人物だったのです」(安藤氏)

◆取材・構成/浅野修三(HEW)

※SAPIO2017年10月号

関連記事

トピックス

NHK中川安奈アナウンサー(本人のインスタグラムより)
《広島局に突如登場》“けしからんインスタ”の中川安奈アナ、写真投稿に異変 社員からは「どうしたの?」の声
NEWSポストセブン
カラオケ大会を開催した中条きよし・維新参院議員
中条きよし・維新参院議員 芸能活動引退のはずが「カラオケ大会」で“おひねり営業”の現場
NEWSポストセブン
コーチェラの出演を終え、「すごく刺激なりました。最高でした!」とコメントした平野
コーチェラ出演のNumber_i、現地音楽関係者は驚きの称賛で「世界進出は思ったより早く進む」の声 ロスの空港では大勢のファンに神対応も
女性セブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン
元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
襲撃翌日には、大分で参院補選の応援演説に立った(時事通信フォト)
「犯人は黙秘」「動機は不明」の岸田首相襲撃テロから1年 各県警に「専門部署」新設、警備強化で「選挙演説のスキ」は埋められるのか
NEWSポストセブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
5月31日付でJTマーヴェラスから退部となった吉原知子監督(時事通信フォト)
《女子バレー元日本代表主将が電撃退部の真相》「Vリーグ優勝5回」の功労者が「監督クビ」の背景と今後の去就
NEWSポストセブン