愛する人を亡くした悲しみはそう簡単に消えるものではない。「数年経ったから大丈夫だろう」という考えは大きな間違い。悲しみ・苦しみは少しずつ形を変えて、変化する。「思慕」は恋しさ、「疎外感」は孤独、「うつ的不調」は不眠・食欲不振などの身体的変化、そして「適応・対処努力」はがんばろうという気持ちを表す。思慕の念は死後4年経っても強く、うつ的不調と適応・対処努力は4年以上続く。
では、悲しみにくれる人に、周りはどんな言葉を投げかけたらいいのか。
下手なひと言は、より心を傷つけるという。そこで以下に、うっかり言ってしまいがちな“毒になる言葉”を紹介する。悲嘆にくれる人には、詮索や励ましより、そっと寄り添い、ただ話を聞いてあげるほうがいいと覚えておこう。
◆あなたは子供が大きいからまだまし
死別の悲しみや苦労を過小評価した言葉。「まだまし」という言葉には、「あなたの悲しみは大したことない」と言っているのと同じ。家族や親戚だろうと口にしてはいけない。
◆あなたより大変な人もいるのよ
死別の悲しみは人それぞれ。何が大変なのかは、他人が決めることではないし、比較できることでもない。苦労や心労を過小評価するような言葉は、絶対にしてはいけない。
◆がんばってね
人を励ます言葉として、つい言ってしまいがちな一言。自分は励ましているつもりでも、相手にとっては「もっとがんばらなきゃいけないんだ」というプレッシャーやストレスになってしまうことも。
◆あなたの気持ち、わかります
多くの遺族が嫌がる言葉がコレ。愛する人との別れは当事者だけの問題で、その悲しみは本人にしかわからない。遺族に共感の気持ちを伝えているつもりでも、それはただの自己満足となる。
◆あなたがしっかりしないとダメ
この言葉には「自分も手伝うから」といった意味すら含まれておらず、悲しむ人を「ひとりでがんばれ」と無責任に突き放すようなもの。逆に相手を落ち込ませてしまう。