実際、鴨緑江沿いの幹線道路には「密貿易を摘発しよう」とか「密貿易は犯罪」などとの看板が頻繁にみられた。それだけ、密輸が多いということだろう。
国連安保理は8月5日、北朝鮮の1年分の輸出額の3分の1に相当する10億ドル(約1100億円)の削減を中心とした制裁決議を採択した。具体的には北朝鮮産の石炭及び鉄と鉄鉱石、鉛などの鉱産物や海産物の輸入を停止するという制裁だ。
とはいえ、これらの北朝鮮産品の9割を輸入する中国が抜け穴になっているのだから、制裁の実効性は低いといわざるを得ない。
しかも、同筋が「この清水橋ルートは密貿易のごく一部であり氷山の一角だ」とも指摘するように、実は中朝貿易全体の7割が集中する丹東市中心部の鴨緑江大橋を使った正式な貿易ルートについても、朝鮮幇が暗躍しているというのだ。
※SAPIO2017年10月号