民進党の合流が報道され始めたこの日の夕方。党も議員もどうするのか、どうなるのか明確なことはわからない。いくら記者たちに質問されたとしても、希望の党としてまだ志を一つに結んでいるわけではない。リボンがほどかれていたのは、まだ彼らとは結ばれていないという意味があったのではないだろうか。
さて、会見でマイクを握った小池都知事は「政治の空白があっていいはずがない、だが総理は解散総選挙をうたった」と言い、「であるならば…」と語気を強めた。そして、左手の人差し指と親指を開いて持ち上げ、そこにある大きな何かをつかみ取るような仕草を見せたのだ。そこに見えた「改革のチャンス」を、彼女は自分の手でがっちりとつかみ取りたいのだ。
自分の手でと言えば、この結党会見前日、小池都知事は「希望の党」の立ち上げを一人で宣言した。「希望の党」と書かれたフリップを掲げると新党を「立ち上げたい」と言って、一瞬、喉元で左手を水平にして見せたのだ。
もしかして小池都知事は、新党設立に一人突っ走る若狭議員に、心のどこかで、「おいおい勘弁してよ…」と思っていたのかも。というのもこの仕草は、「その話には食傷気味」、「喉元までいっぱいだからもういらない」という無意識のメッセージにもとれるからだ。案の定、彼女は若狭議員が目指していた新党を「リセットして直接絡んでいく」と発言したのだ。そして「私が旗を掲げる」とわずかに背筋伸ばし、椅子の背にもたれかけた。
国政に挑むのかという質問には、唇を真一文字に結んで笑顔を見せるだけ。「本心は明かさないよ」ということだ。「公約を実践するには自分でやる方が早いのでは?」と言われると、上体を少し左へ反らし、一瞬だけしっかり結んだ口元をへの字に曲げた。「2足のわらじで都政改革のスピードが落ちるのでは?」と問われた時も身体を反らした。人は嫌な話や不快な相手からは遠ざかろうと、無意識に身体を反らしやすい。都知事を辞め国政に出るのか、都知事と代表が兼務できるのかといった質問にはまだ抵抗感があり、ストレスが強くなるのだろう。
だが今、一番知りたいのはそこだ。結党会見で小池都知事が見せたこんな仕草がある。「都知事は知事の任期を全うすると思っていたが」という記者の問いかけに、彼女は上体を右側、質問した記者の方へ傾むけるようにした。そして「都知事として代表として、日本を変えていく」とはっきりと言い切った。次いで「国政への復帰は」と聞かれると、今度は上体を左へ、記者とは反対方向へ傾けるように反らし、「今は仲間が一人でも多く当選するように」と出馬を否定したのだ。
右と左の身体の傾き、この違いをどう読み取るか? 言い方は真逆でも、どちらの質問も衆院選の出馬がらみ。とはいえ、どちらによりマイナス感情が生じたのかといえば、記者とは反対側へ身体を傾けた国政への復帰に関する質問になるのではないだろうか。どうも、国政への復帰は考えているものの軸足はまだ都政、そんな印象だ。
いずれにせよ、永田町をざわつかせる小池都知事の動きからしばらくは目が離せない。